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越境ECの2つの物流形態
2023/04/11
REPORT
1 越境EC物流モデルの考え方
中国への越境ECの構造を検討する場合、大きく分けて2種類の発送方式があります。
保税区モデルと直送モデルです。
保税区モデルとは、保税区モデル(出荷が確定するまで税金のかからない方法)に在庫して、商品を引き当てから通関を行って消費者に発送する方式のことを指します。 また、直送モデルとはエンドユーザーからのオーダーごとに日本に在庫されている商品から中国人ユーザーへ直送する方式のことです。
2 保税区モデルについて
越境ECでよく使われる大手プラットフォームが推薦するのは保税区モデルです。
2-1 保税区モデル基礎知識
越境EC関連の記事で保税区という言葉を耳にすると思います。越境ECにおける保税区とは、、国外から発送されたものを一時的に保管する地区のことを指します。
これは関税がかかる前で手続き上は輸入前の状態と言えます。越境ECサイトで受注られた場合は、この保税区の商品を梱包し、通関を通過した後、注文者に配達されます。
2-2 保税区の種類
保税区モデルには2種類あります。「備貨式」と「集貨式」です。
中国の大手プラットフォームは中国国内に在庫を持つ「備貨式」を推奨しています。
「備貨式」とは、中国の税関が指定する越境 EC 保税区内に、保管された商材を中国国内に配送する方式のことを指します。
一方、「集貨式」は日本など中国外にある海外倉庫に商品を保管する方式です。
2-3 保税区モデルの税率
越境ECの際は、消費税と越境EC電商税が適応された増値税の合算で課税されます。
この合算は非常に複雑な計算式を活用しています。主な商品の総合税率は以下の通りです。
(図表1)
対象商品に関しては、国務院がポジティブリストを公開しており、現在掲載されている商品は1413種類です。保税区モデルの場合は、増値税と消費税を合算した総合税率が適応されます。
2-4 保税区モデルのデメリット
保税区モデル最大のデメリットは、在庫を抱えるリスクです。保税区モデルにかかる日数はおよそ5日間ですが、「保税区モデル」の場合、売りさばけるかわからない商品を中国の倉庫に入れておかなければなりません。そのため、必然的に在庫を抱えるリスクは、直送モデルより上がります。
2-5 保税区モデルに向いている企業
中国国内に一定数の安定出荷があり、伸び続けている成長段階の企業には、保税区モデルがお勧めです。その段階の企業は中国でのブランド知名度も上がっているので、デメリットよりも顧客へのリードタイムの短縮、配送コスト削減といったメリットのほうが大きくなります。
3 直送モデル
次に直送モデルについて解説します。
3-1 直送モデルの基礎知識
直送モデルは保税区モデルと大きな違いは、発注前に中国に荷物を預けない点です。これは、中国の消費者が EC で海外から直接商品を購入した場合、リストで審査し、まとめて購入後に申告する通関方式です。
注文を受けてから日本にある商品を出荷するパターンで、このモデルにかかる日数は約7日間です。もちろん、通関を通過して関税を支払ったうえでの配送となります。
3-2 直送モデルの種類
直送モデルには関税方式が2種類あります。「EC総合税方式」と「行郵税方式」です。大手のプラットフォームで指定される直送モデルは基本的に「EC総合税方式」です。
「EC総合税方式」の税率は基本的に保税区モデルと同じですが、違いとしては中国で在庫を持たない分リスクが軽減されるため、メリットは大きいといえます。デメリット上げるとすると、受注ごとに配送するため、ユーザーまたは出荷者が負担する配送コストが保税区モデルに比べて高くなります。そのため直送モデルは、安定した大量出荷量が見込まれない場合、つまりスタート段階で選択することが多い物流形態です。
もうひとつの「行郵税方式」は個人対個人の海外発送に使われる物流形態です。基本的には大手プラットフォームの規制がない自社サイトでの販売などでも一般的に選択されています。
3-3 直送モデル(行郵税方式)の税率
直送モデルの税率は前述のとおり、EC総合税方式を採用した場合は保税区モデルと同じになります。しかし、行郵税方式を採用した場合は税率が異なります。日本から直送した商品は「行郵税」(13・20・50%の何れか)が賦課されます。行郵税の免税対象は、税額50元以下ですが、免税枠を超えた直送商品への賦課状況は商品ごと設定されており、13%~50%で設定されています。主な商品の行郵税は以下の図の通りです。(図表2)
3-4 スタート段階での物流方式の選択
スタート段階では、直送モデルが基本となります。理由は、越境ECのスタート段階では在庫リスクを抱えない方が良いからです。直送モデルで物流方式の選択は、原則として商品を販売するプラットフォームに依存します自社サイトでの販売の場合は、基本的には行郵税方式になります。
3-5 こんな企業に直送モデルをすすめます
すぐに越境ECを始めたいスタートアップの企業様には、「行郵税方式の直送モデル」をおすすめします。書いていただく書類がいくつかございますが、最短で4~5日で発送ができます。
4 まとめ
はじめての中国越境ECの物流方式は以下のようなシナリオと選べる物流方式を整理できます。
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