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中国3PL物流企業最大手「菜鳥網絡(Cainiao Network)」〜中国EC物流最前線〜


2023/05/09

REPORT

毎年11月11日「独身の日」という世界最大級の販促イベントを開催し、2021年には売上高9兆円を達成したと日本でも話題のアリババグループですが、その裏で巨大な物流現場を支えている企業は皆さんご存じでしょうか。中国EC市場最大のキープレイヤーであるアリババグループの中核物流会社「菜鳥網絡」を今回のレポートで徹底解説させていただきます。中国でECに関わるすべての企業、またはECユーザーにとっても非常に身近な存在であり、もはや中国の社会インフラといっても過言ではない企業です。

2021年12月20日、Hurun Research Institute(胡潤研究院)が2021年世界ユニコーンランキングリスト(Global Unicorn Index 2021)を発表しました。アリババグループ(Alibaba)傘下の菜鳥網絡(Cainiao、ツァイニャオ)は9位にランクインし、中国市場で最も評価額の高い物流企業となりました。(21年12月時点の評価額340億米ドル)

越境レポート② 画像1

菜鳥網絡は、アリババグループのEC事業の発展による膨大な物流負荷に対応すべく、リテール業界大手の銀泰集団、EC物流・物流不動産・製造業などを含む複合企業の富春集団、キャピタル大手の復星集団および順豊、中通、円通、申通、韵逹など大手物流会社の合弁により2013年に設立された比較的歴史の浅い物流会社です。その後、菜鳥網絡はアリババグループの増資により、2017年からアリババグループの子会社となっています。菜鳥網絡はこれを機に取り扱いボリュームを激増させることとなります。

菜鳥網絡とそのパートナー物流会社は、2020年「独身の日」11月11日から11月18日までの1週間で18.8億個荷物を配送し、過去最高記録を更新しました。最終的に、2020年「独身の日」は23.2億個の配送実績を残し、独身の日の荷物取り扱い量だけで日本の約半年間の宅配取扱量をたった1社で配送したことになります。(2020年日本の宅配個数は48億3千万個)

菜鳥網絡の会社沿革

2017年 ブランドを刷新

2013年 設立

2013年 独身の日 1.56億個の荷物を配達

2014年 独身の日 2.78億個の荷物を配達

2015年 独身の日 4.67億個の荷物を配達

2016年 シンガポールやマレーシア政府系ファンドから資金調達を完了

2016年 独身の日 6.57億個の荷物を配達

2017年 独身の日 8.12億個の荷物を配達

2018年 全世界72時間以内配送を実現するため、海外で物流ハブ設置を開始

2018年 独身の日 10.42億個の荷物を配達

2019年 独身の日 12.92億個の荷物を配達

2020年 独身の日 23.2億個の荷物を配達

2020年 「菜鳥網絡スマートパッキングアルゴリズム」により、累計荷物5.3億個分の梱包材を節約

2021年 1日平均荷物配達数500万個を超え

菜鳥網絡の強み

世界最大級の物量を処理できる菜鳥網絡の強みは、ビッグデータに基づく出荷物量予測と倉庫管理システム(WMS)の連携、無人搬送車(AGV)等の徹底した省人化オペレーションが構築完成していることです。菜鳥網絡は、AIをはじめとする最新テクノロジーとビックデータを最大限に活用し、中国スマート物流の基幹ネットワーク(China Smart Logistic Network、略称CSN)という物流プラットフォームシステムを確立させています。

このシステムのおかげで、現在の市場規模分析や、商品出荷量予測など精度の高い需要予測データが、アリババグループのECプラットフォーム出品企業に共有されます。独身の日などの大型販促イベントにおいて、出品企業はこのシステムによる高精度な需要予測を生かし、自社の生産計画や在庫を調整できるという大きな恩恵を受けることになります。

現在、菜鳥網絡は他社でも利用しやすい開放的な物流プラットフォームとして、業界全体の効率化を目指すことをミッションにしています。2020年年5月時点まで、菜鳥網絡は224カ国と地域で物流パートナー約3,000社以上と提携すると同時に、240ヶ所以上倉庫を確保しました。その結果として1日処理する物流データが16兆件以上、1日に取扱う荷物が1億個以上に達しました。菜鳥網絡は「中国全土24時間、72時間世界中に届ける」というミッションを掲げるスマート物流プラットフォームとなり、中国だけでなく世界の物流をリードする巨大企業へと変貌を遂げました。コロナ禍においても菜鳥網絡は良き企業市民として社会的責任を追求し、感染対策用品の生産、在庫、輸送、通関、配達などすべてのプロセスに貢献し、アリババグループとして世界物流ネットワークの安定に貢献をしています。

 まとめ

EC大国である中国が世界トップレベルのEC物流企業「菜鳥網絡」を生み出した経緯とその強みを紹介しました。中国発巨大物流企業は、日本だけでなく世界中にその影響力を拡大していきます。近年、日本から中国へ越境EC事業を展開している企業が増えていますが、どのような形でアリババグループのECプラットフォームに参入し、どんな物流フローで商品を菜鳥網絡へリレーしていくのが重要な課題になります。

船井総研ロジでは、お客様の目指す越境ECビジネスの構築にむけて、マーケティングとロジスティクスの両面から支援し、最適マーケティングと物流体制の構築を提案していきます。今後も中国越境物流の事情や、中国越境EC市場の動向を常に研究し、中国越境ビジネスで展開すべき具体的なマーケティング戦略について定期的にレポート配信を続けて参ります。

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